小学生のころ、「日光には秘宝が隠されているに違いない」 と思い込んでいた。
なにか底知れぬ力を持つ奇跡のお宝があるはずだと思い込んでいた。
そしてその思いは膨らんで、とうとう勝手に物語を創り出してしまった。
あいにく紙に落とし込む前に飽きてしまい内容はうろ覚えだけど、ちょっと思い出してみようかな、小学生時代に考えた、日光に眠る秘密を探る冒険のお話。
そう思い立ち、20年振りに日光東照宮に行ってきた!
記憶が鮮明なうちに、自作の物語を交えた旅行記を残しますか!
注)ここからはフィクションありです、というか、ほぼほぼフィクションです。
「プチケイト君、日光に行き、宇宙の謎を解き明かしてくれ! 日光には宇宙の真理が隠されているはずだ! その鍵は75人目の地蔵が知っているらしい」
という、ザックリとした部長命令を受け、なぜか日光に来てしまった
まあ、日光で謎が解けるのかは別として、僕も宇宙の真理には興味があるからね
とりあえず、75人目の地蔵を見つけて事情を聞くしかないようだ。
うん、地蔵が集まる場所は知っている
憾満ガ淵(がんまんがふち)の「並び地蔵」のことだね!
大谷川(おおやがわ)の川辺に並ぶ数十体の地蔵は、天海の弟子たちが、過去万霊・自己菩薩のために作ったものだ。
さっそく憾満ガ淵の並び地蔵の元へ向かった
さあ~て、75体目のお地蔵さんはどれかな~?
地蔵を数えること15分。
あれ? 74体しかないんですが! 75体目はどこだぁ?
そこで思い出した!
ここの地蔵は、数えるたびに数が合わないことから、別名「化け地蔵」とも呼ばれているんだ!
なるほど、数え直せば75体目があるのか、、、軽く身震い。
Uターンして数え直すと、74体目の地蔵のとなりに、絣の着物を着た8歳くらいの男の子がしゃがんでいた。
う~ん、仕込みの匂いが充満してるなぁ、、、
仕方なくその男の子に声をかけた
「まさか、君が75体目の地蔵のつもり?」
男の子は立ち上がると私を見上げて言った
「そうだよプチケイト君、君が来ることは部長から聞いてるよ」
ひぃ〜 やっぱり部長の仕込みだ!
まったく、部長が仕込んだアドベンチャーゲームに付き合っている暇はない。
会社に抗議の電話をかけると、部長は長期休暇中でハワイに飛び、不在だった。
憤慨する私をよそに小僧が話し始めた
「君は宇宙の真理を探りに来たんだろ? そのためには東照宮と周波数を合わせる必要があるんだ。周波数を合わせることで本来の東照宮の姿を見ることができるんだぜ」
「なにそれ? 部長に仕込まれたセリフ?」
小僧は構わず続けた
「テレビのチャンネルを合わせるのと一緒さ」
「なにそれ? 見えないものが見えちゃう霊能力的な力、そんな能力欲しくない、見えないものは見えないから価値があるんです!」
「違うよ、見えないものを見えないと思い込んでいるから見えないだけなんだ!」
このガキ、絣の着物さえ着ていなければ迷子として警察に突き出すのに、どこか座敷わらしを思わせる風貌のため手荒なマネを致しかねるではないか!
すると小僧が
「じゃあ、周波数を合わせに神橋に行くよ!」と言って、絣の着物を脱ぎ棄てた
着物の下は、レアルマドリードのTシャツと短パン姿だった
「ええ! 座敷わらしじゃなくて、現代っ子じゃん!」
「俺の夢はサッカー選手。 今から俺のことはロナウドって呼べよ」
「ケッ、ぜったい呼ばない!」
ロナウドによると、神橋を渡ることで周波数が整い、東照宮とコミュニケーションをとることができるらしい、、、
ところで、コミュニケーションって、なんだ?
神橋を眺めながらロナウドが言った。
「プチケイト君、この橋を渡ろうとしているだろ?」
「うん、もちろん!」
「この橋は寛永大造営の時に造られたもので、本来の神橋ではないんだ。本来の神橋は、深沙王(じんじゃおう)が2匹の蛇を川に投げ入れてできたと言われている。だから、今からそれを再現して本来の神橋を創り出す」
「は? 蛇を投げ入れるってこと?」
蛇は私にとって、世界十大恐怖の一つに入るおぞましい生き物だ。
子どものころ、父親にウナギだと騙され、父親が仕留めた蛇の蒲焼を食べてしまったことがある。少し弾力がある肉質を、噛むほどに滲み出る旨味の強さが、信じられないほど美味しかったことが、逆にトラウマになっているというのに。
「蛇が登場するなら、この寸劇は降板する!」
とヒステリー気味の私をよそに、ロナウドは足元に落ちていた木の枝を2本拾い、クネクネと蛇のように揺らしながら言った
「すべては思い込みだよ。これだって、蛇に怯える者が闇の中で見たら蛇に見えるだろ? 木の枝だって、蛇だと思い込めば蛇なのさ」
「え? さっきは見えないと思い込んでいるのがいけないみたいなことを言っていたくせに、今度は思い込めだなんて、都合よすぎじゃないの?」
「そうさ、この世はすべて思い込みからできているんだから、自分の都合のいいように思い込めばいいんだよ」
そう言って2本の枝を川に投げ入れると、神橋の横にたちまち朱色の橋が現われた。
なかなか、、、やるではないか、、、くやしい気持ちを抑えながら幻の神橋、、、いや、こちらが本物なのであろう。現われた神橋を渡る。
う~ん、渡っている感じは普通の橋と変わらないんですけど、本当に周波数整えてんの?
渡り終えると急激にお腹が空いてきた
「なんか食べたい」
「あ、言うの忘れてた、俗世界のものを口に入れると周波数の効き目が切れるんだ。謎を解くまで何も食べられないぜ」
「はあ? 冗談でしょ? そのセリフも部長に仕込まれたわけ?」
「さっきから部長の仕込みってうるさいんだよ、俺のセリフはすべて、アドリブだ!」
「う〜ん、いまいち腑に落ちないけど、餓死するくらいなら、たとえ蛇でも食べてやる!! 」
こうなったら、とっとと宇宙の真理を解いて、美味しいものをたらふく食べたい!
そのためには、この日光で賢い存在に尋ねるのが近道なんじゃない?
叡智の象徴といえば、「見ざる、聞かざる、言わざる」で有名な三猿だ!
というわけで、向かったのは神厩舎(しんきゅうしゃ)。
ここに三猿がいる。
②に続く
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