2012年11月23日金曜日

消えるモンサンミシェルとニコラ・サルコジ元仏大統領 その②

〜その①の続き〜

島に戻り、ホテルの朝食ブッフェでコーンフレークとリンゴを食べた。
フランスのリンゴは小ぶりで、バターナイフのようなものでも皮が剥けるほど柔らかく、丸かじりにふさわしい。

リンゴを食べた後は、島内を散策。

宿泊したホテルの向かいにあるサン・ピエール教会(Eglise Saint Pierre)



ここの大天使ミカエル像は素敵でした。ろうそくを捧げると神父さんが「merci」と声をかけてくれました。



自由に書き込めるノートがあり、私も大好きな大天使ミカエルにメッセージを書きました。



早朝のモンサンミシェル(Mont Saint Michel)は人気がなく、またもや写真取り放題ですが、なぜか至る所でポリスマンに遭遇する。


迷路のような小路で、私たちとポリスマンはよく鉢合わせになった。そのたびに「bonjour」と挨拶を交わす。
みんなかっこいいから、私はドキドキしっぱなし(笑)
この狭い島内に、30人ほどのポリスマンがいた。

なぜ朝からこんなにポリスマンがいるのだろうか? 
世界遺産において、この厳戒態勢の裏にはきっと何かあるはず、と、友人といくつか仮説をたてた。
 
 ①テロの標的になってしまった。 ← うん、ありそう。

 ②島内で犯罪があり犯人を探している、よって、私たちは島に閉じ込められた。
  昔のアルカトラズ島みたいに。 ← いやだけどありそう。

 ③修道院のてっぺんの大天使ミカエル像は、実は純金仕様で、
  怪盗を名乗る者から予告状が入った。 ← 今から盗みに行きますが、何か?

こんな話をしているうちに、憶測が憶測を呼び、謎がいっそう深まってしまった。

ま、お土産でも見ようか、ということで、島内で一番の賑わいを見せる参道のお土産屋さんに入り、リンゴクッキーを試食していると、店員の女性が英語で話しかけてきた。

「今から、すごい人が来るのよ」

え? すごい人? 私が目を丸くすると女性が言った。

「それは、ニコラよ!!」

ニコラ?? まったくわからない私は思わず 

「Who?」

すると女性は驚きながら、あんな有名な人を知らないの?? 大統領候補じゃない!というようなことを言った。
そう、時は2007年1月、フランスでは大統領選挙の真っ只中だった。
その候補者の一人、ニコラ・サクジ(Nicolas Sarkozy 日本ではニコラ・サルコジ)が今からモンサンミシェルに来るらしい。

「彼はとても小さいの、私はあまり彼が好きじゃないわ、でも、彼が次期大統領になると思うわ」
彼女が続けた
「ニコラはお昼前に来て修道院を見た後、あそこのレストランで食事をするのよ」
と、オムレツで有名なラ・メール・プラール(La Mere Poulard)の姉妹店である、レ・テラス・プラール(Les Terrasses Poulard)を指差した。

なるほど、、、そのニコラさんが来るからイケメンポリスマンが勢ぞろいなわけですか
謎が解けたところで、外がにわかに騒がしくなってきた。
見ると、報道カメラマンがうようよ登ってくるではありませんか

その女性に 「ニコラ?」と聞くと 「ウィ ニコラ」と答えてくれた。

狭い参道は報道陣でいっぱいだった。みんな後ろ向きで上にある修道院方向へ歩いていた。そうか、これからニコラが登ってくるのね、、、
私も報道陣に交じりカメラを構えた。気づけば周りは報道陣ばかりで、観光客は誰もいない。報道陣の群れの後に、スーツ姿のいかにも政治家らしい人たちの集団が現れると、シャッター音がバシャバシャと鳴った。

ニコラだ! しかし!!  え?  どれがニコラ??  そう、私はニコラを知らなかった、さっき名前を知ったばかり(苦笑

え~い! どれかがニコラだ! 乱れ撮りぃ~  でも、私より体格がいい報道陣に囲まれて、前がよく見えないんですけどぉ~~!!!

心の叫びが通じたのか、突然、私の周りにいた報道陣が左右にサ~と割れた。十戒のモーゼが海を割ったように。。。
そして、報道カメラマンのルールを知らない私だけがド真ん中にとり残された。
開けた視界の先には背の低い男性が、、、ニコラ・サルコジだ!!





そこで雨のようなシャッター音が響く!! す、す、すごい!!

報道陣とニコラは修道院目指し上へ上へと登っていく。私も報道陣の動きに沿って、昨日死ぬ思いで登った階段を駆け足で登った。 

報道陣に手を振るニコラ・サクジ(サルコジ)





修道院の入口まで報道陣で埋め尽くされていた。




フランスでは、「ニコラ・サクジ」と呼ばれている
フランス語では、「R」は「ル」とは発音しないから、「サクジ」になる

2012年11月22日木曜日

周杰倫,多謝(Jay Chouありがとう)


帰宅中の電車の中で、台湾旅行から帰ってきたお友達からLINEが入った。
見ると、台湾旅行のお土産として 「この画像見て笑っちゃダメよ(笑)」 のコメントとともに画像が送られていた。

ジェイチョウ(Jay Chou 周杰倫) が通い詰めた、台湾の淡水にあるワンタン屋さんの広告とのこと。

そのお友達は、私がグリーンホーネットのカトー(KATO)に入れ込んでいることを知っているので写真を撮ってくれたそうですが、イケメンにしか興味がない彼女は、どうしてもジェイチョウを正面から撮りたくなかったようで、なぜか斜めからのカメラワーク(笑


なんだろう、、、ジェイチョウさんのポーズが、なんともチャラい感じがして笑いが込み上げてくるのです。
HIP HOPがお好きなそうだから、ああいう手のポーズをしたいのかな。

しかも、よく見ると、髪型も服装も、かっこ良くない(泣

でもね、これはこれで、ジェイチョウが持つ、かっこいいのか、かっこ悪いのか、どっちなの? と、判断を狂わせる天性のセンスが滲み出ていると思う。


 ☆その画像は掲載できませんが、同じ広告はお店のHP内、VIDEOもしくは電視報導にあります 
   http://www.wenchou.com.tw/


それにしても ケイトのときは超私好みでかっこよかったのになぁ~
ハリウッドの映画スタッフは、ジェイチョウの使い方、というかプロデュースが上手だったのですね。
私としては願わくば、ケイトとして生きて行って欲しいくらいだもん。

でも、ジェイチョウ(Jay Chou 周杰倫)さんは、才能溢れるカリスマ的存在だし、KATOを演じることで、私にも多大な影響を与えたことを考えると、私にとっては偉大な存在です!

そんなジェイチョウさんに、私の人生に冒険を与えてくれた感謝を込めて、メッセージを作ってみた。
長文にするつもりが、すぐにモチベーションが下がり、つぶやきクラスになっちゃった(汗

歹勢 , 周杰倫


本人が読むことはないでしょうから、適当♪


你好,周杰倫
我是小的 Kato(Petit Kato)
呷飽? 
最喜歡您演的電影「青蜂侠」
您表演的 Kato 是最佳的
多謝
好呷❤




2012年11月19日月曜日

グリーンホーネットのフランス版DVD


映画グリーンホーネット(The Green Hornet)のケイト(カトー,Kato)が好き過ぎて、ケイトのセリフをフランス語で聞いてみたい私は、フランスのアマゾンからフランス版DVDを買ってしまった。

新品で98ユーロ(約1000円)

音声は英語、フランス語のほかに、イタリア語、スペイン語、カタロニア語(どこ?)が入っていて、字幕は、デンマーク語、フィンランド語、ヒンディー語、オランダ語、ノルウェー語、スウェーデン語、ポルトガル語、アラビア語、が入っている。

フランス語吹き替えのケイトの声は、かなりソフトでオカマっぽいというか子供っぽくて、ジェイ・チョウみたい  
ブリットは、セス・ローゲンより少し高めで、セスの特徴を捉えていてかなり上手い。
レノアの声は、ちょっとおばちゃんっぽいかな。どうやら、フランスでキャメロン・ディアスの声は、いつもこの人が担当してるみたいですね。(他の映画もこの声だった)
チェドノフスキーの声が、クリストフ・ヴァルツとソックリで驚いた。

DVDの中身は、本編も特典映像も日本仕様とまったく一緒。

ただ1点違うのが、エンドロールに流れる曲の順番で、日本のDVDではJay Chouのヌンチャク(NUNCHUCKS)が先だけど、フランス版では、The Greenhornes のSAYING GOODBYEが先に流れるの。

日本版は、アジア対策としてジェイチョウを先に持ってきたのかなぁ。
パッケージは日本仕様と比べると、ちょっと安っぽいかな。。。

ちなみにケイト(KATO)の発音は、フランス語では「ケトー」
イタリア、スペイン語は 「カトー」 
カタロニア語は、「ケイト」

このDVDを購入した目的は他にもあって、フランス語の勉強に使えると思ったのですが
フランス語吹き替えと、フランス語字幕が一致していないことに気づいてしまったのです!!

例えば、ケイトがレノアからデートに誘われ二つ返事でOKするシーン。 
吹き替えでは「Avec plaisir」が、字幕では「Volontiers」になってる!
どちらも、「喜んで」という意味で同じだけど、、、

確かに日本語吹き替えと字幕も一致してないもんね。。。これは誤算!

勉強のためには、フランス語吹き替えを書き出してくれる人が必要になってしまった!
これは、ネイティブであることが必須。

よし、聞き取りしてくれるフランス人を探そう! 

というわけで、今日から「フランス人を探せキャンペーン」を展開することにした。
2か月ほど前に始めた「恋に落ちようキャンペーン」は飽きたのでお休み♪

飽きやすいのが長所です❤

2012年11月12日月曜日

消えるモンサンミシェルとニコラ・サルコジ元仏大統領 その①


フランスのモンサンミシェル(Mont-Saint-Michel)が大好きでして、自分の魂の故郷だと思い込んでいます。
数年前に友人と訪れたときに、そう感じたから、そういうことにしております。

このモンサンミシェルに行く当日の真夜中に、私は下痢と嘔吐が止まらず、タクシーで救急病院に行き、おしりに注射を打ち処方箋をもらい、そのままモンパルナス駅からTGVに乗り、慌ただしくモンサンミシェルへ向かった。

処方箋をもらったものの、日曜日だったために薬局がどこもお休みで、結局薬は飲めなかった。。。このシステムなんとかして~

ゲロゲロになりながらTGVでレンヌまで行き、そこから路線バスに乗り換えて田舎道を進んでいくと、海沿いのな~んにもない平地に現れるモンサンミシェル。感動の瞬間です。




真冬だからかな、観光客は少なめでゆっくり見ることができたけど、病人の私にはあの山登りはつらすぎた。。。
スーツケースをパリのホテルに預けてきて正解。
身軽なはずのスポーツバックでも足かせのように邪魔だったもん。

息絶え絶えになりながら修道院目指して石畳を一歩一歩踏みしめながら思った。
中世の巡礼者は、歩いてここまでたどり着き、へとへとの体でこの山を登ったのかな~ 今の私は彼らを疑似体験しているみたい。。。

モンサンミシェルは予想以上に素晴らしかったから、本当は寝る間を惜しんででもじっくり堪能したかったけど、 私は体調がMAX悪くて胸のランプが赤色に点滅してたし、友人は私の看病疲れから、島内のホテルで夜8時には寝てしまった。

翌日、朝6時に目が覚めた私たちは、夜明けのモンサンミシェルを見るために、外に出ようとするも、ホテルの廊下扉が閉められていたので非常口から外に出た。

外は真っ暗、人っ子一人いない。

静けさの中で、私たちの靴と石畳の摩擦音がコツコツと島内に響いた。
モンサンミシェル貸し切り状態の中、写真をバチバチ撮る私たち。


小さな路地の入口に黒猫が2匹。深い黒色の毛はノルマンディーの暗闇の中でも映えていた。エメラルドグリーンに光る目が幻想的。


1箇所、どうしてもシャッターを押せない場所があった。何度押しても押せないの。
シャッターボタンが降りないの。。。島の入口付近。。。
昼は押せたのになぁ~

遠目でモンサンミシェルを見ようと対岸へ続く道路を歩いていると、朝靄の中から男性の声がした「Bonjour ボンジュー」
でも朝靄がすごくて、見えるのはチラチラとしたサーチライトの光だけ。

目を凝らしていると、朝靄の中から若くてハンサムなポリスマンが2人も現れた。
一言二言フランス語で挨拶を交わすと、フランス語が話せると思われたのか、ニコニコしながら寄ってきた。なんて人懐っこいの~ フランス人はときに、こちらが恐怖感を抱くほど気さくだ。

それにしても、こんな朝早くからポリスマンが巡回しているとは、世界遺産だから?
それともなにか事件でもあったの?
この謎は、4時間後に解ける。

100m程離れたところから霧の中にぼんやりと浮かぶモンサンミシェルを眺めていると
教会の鐘がゴーン、ゴーン、ゴーンと鳴り、澄んだ空気によく響いた。
ここは海に囲まれた孤島、聞こえるのは鳥の声と穏やかに揺れる波の音だけ。
そのなかに響く鐘の音は、瞬時にして私を中世へとタイムスリップさせてくれた。

それにしても朝靄がひどい、空がグレーがかった藍色に変わり始めると、霧のため視界がどんどん悪くなってきた。

あちゃ~ ご来光を見たいんだけどなぁ~ これはどうしたものかと思っていると、モンサンミシェルにも霧が降り始め、修道院のてっぺんにある大天使ミカエルの像は見えなくなってしまった



霧は厚みを増し、みるみる島を覆っていき、、、





しまいにはモンサンミシェルを完全に包みこんでしまったではありませんか!



 
この朝靄の中に姿を消す修道院は、中世の巡礼者に神秘を煽ったのだろうなぁ~
見事に消えたモンサンミシェルの存在が幻に思えてきて、もう、あそこにはもどれないような気がした。

ノルマンディーの霧は深い。
百年戦争では、イギリス軍をその神秘のベールで何度も欺いたにちがいない。な~んてね♪ 

その②へつづく


2012年11月10日土曜日

クマの肉をもらった!!


母親が、知り合いの農家から熊の肉を貰った。
なんでもその知り合いの農地に熊が現れ、地元の猟友会に仕留めてもらったらしい。
今年は熊の好物のドングリや栗が不作で、食べ物を求めて山から熊たちが里に降りてきているようだ。

私の実家の近くの川辺の遊歩道にも熊が出没!

年配の男性がベンチに腰掛け、スーパーで買った菓子パンを食べようとしたところ、
肩を誰かに、ポンポン!と叩かれた。 
男性が振り向くとそれは熊だったとか!!
男性は頬を爪でひっかかれたが、熊はすぐにその場を立ち去ったそうです。

母親の友人は、車の運転中に川辺を歩く大きい熊を発見したが、どこに連絡したらいいのかわからず、慌てながらも、とりあえず市役所に連絡したそうです。

地元の山奥にある温泉ホテルに泊まった時に、熊の鳴き声を聞いたことがある
結構な高音で、「ヒューン!」 と鳴くのです。
明け方の静かな山から ヒューン、ヒューン! って聞こえてくる。
鳥の鳴き声かと思っていたらホテルの方が熊の鳴き声だと教えてくれた。

熊を仕留めた方達のおすすめは、マタギ料理の味噌仕立ての鍋だそうで、熊の肉を食べると体がカァーと熱くなるみたい。
羊肉のようにカルニチンが豊富なのでしょうか?



母に送ってもらった画像、只今ラップに包み冷凍保存中。レバーみたいに真っ赤。。。

2012年11月9日金曜日

声を響かせる


上あごの内側に矯正器具をつけてから、歌えなくなってしまった(汗

舌が思うように動かせないので、歌詞が言えない。
ツバを飲み込むのに時間がかかるので歌の途中で犬みたいにヨダレが出る。
舌の根の近くに異物があり、そこに舌が触れると喉が反射的に閉じてしまい声がかすれる

ひえ~~ これじゃあ、来月の歌の発表会は散々!

もともと上手じゃないのに、輪をかけてお聞き苦しい歌になりそう
こんなんでステージ立っていいのかな?? 自問自答の末に出した答えは

いいんじゃない!! だって、別にプロじゃないもん♪ 
という単なる開き直りでした。。。

まあ、努力はしよう! というわけで、今日も楽しくヴォイストレーニングに行ってきた。
今日はジェダイ・マスターの元で、「声を響かせる」方法を教えていただいた。
ポイントは、
 
 ★30m先に声を届けるつもりで発声する
 ★腹筋以外の力を抜いて発声する

「響く声」と「大きい声」は別もので、喉の奥が適切に開いていれば、大きい声じゃなくても十分響くそうですが、私はどうしても大きい声を出そうと張り上げてしまう。そうすると喉がしまって逆にこもって響かない声になってしまう。

今はまだ弱いヘッドボイスしか出せていないけど、このヘッドボイスを響かせることができれば、どの音域も張りのある声で歌えるようになるんだって。

そして、歌っていてとても気持ちがいいんだって。 

私のジェダイ・マスターの声は、大声出していないのに、よく響いて張りがある。
息漏れもない。

パダワンの私は、まだまだ息漏れしまくってるし、音外れるし、力任せに歌ってるから全然気持ちよくなくて、むしろ苦痛なの(笑)

鏡を見ながら歌うと一目瞭然で、首に筋がいっぱい立って、声を搾り出してるようで苦しそう。。。これは、喉閉めてる合図だから、首に筋が立たないような発声で歌わなければいけない。

ジェダイ・マスターの首には筋なんて立たない。 
小鳥のように軽~く歌っているのに、バリバリ声響いてる。

その域に早く達したい!!

可能なら来月の発表会までに、、、なんて都合いいこと願ってるけど、
パダワンを卒業しても次はナイト、それからマスターだからね。
ジェダイ・マスターまでの道のりは長いのよ、プチケイト!(自分への激励)


2012年11月3日土曜日

セス・ローゲンの凄いところ ~超私的偏見②~


注) これは、グリーンホーネット(The Green Hornet)を、私が偏った視点から見た感想文です

セス・ローゲン(Seth Rogen)
この人は、かっこ悪さを緻密に計算して演じているのではないでしょうか

この映画は、キザでクールなケイト(Kato ,カトー)に対し、マヌケでダサいブリット(Britt)という設定の対比効果により、二人のキャラが一層際立ち、二人の間に生じるテンションの違いや感覚のズレが笑いを誘っている。

ケイトを演じるジェイチョウ(Jay Chou)には正直、A級のかっこよさはないものの、なぜか私が夢中になってしまったのも、ブリットを演じるセス・ローゲン(Seth Rogen)の、計算された野暮ったさがあったからかもしれない。

彼はこの映画の脚本を書いているから、設定にコメディ要素がある前提としても、演技というか動きがこんなにコメディな人もすごい!

エドワードファーロング演じるミスター・タッパーのラボを襲撃し、タッパーに名刺を渡し車に乗り込む前に、ブリットは一瞬くるっと後ろを振り向く。これが、今から車上荒しをしようとするまぬけな泥棒にしか見えなくて笑える。
去り際に、敵に振り向くシーンがこんなに決まらない人も珍しい。

デイリーセンチネル社で、ケイトが運転するブラックビューティーにフロントから乗り込むシーン。
フロントガラスに思いっきりヒザを打ちつけ頭から後部座席へ、イン! ドリフ級の体当たり技。
頭から突っ込んだ後の足が、まっすぐVの字に開いているのが美しくて可笑しい。

レノアに謝罪と復職を懇願するため家を訪れたブリットは、レノアから追い出され閉まりかけたドアに足をひっかけ強引に開ける。
この新聞勧誘員にも勝る凄みある動きが、自己中心的で執着心が強いブリットの人間性をコミカルにあらわしている。
レノアにキスしようとするときだって、あんなムード無い変な顔する人見たことないよ、ほんとにこの人面白い。

育ちがいい御曹司の筈なのに、ブルース・ウェインのような紳士的要素が一つもなく、むしろ、路上育ちのケイトのほうが振る舞いが紳士的で、お互い、自分のコンプレックスを隠しているように見える。

ガサツな不良に憧れたブリットと良家のお坊っちゃまに憧れたケイト。

2人の喧嘩で、「僕はひどく貧しい路上で育った格闘技の達人だ」 と、自分の生い立ちを肯定するように威勢を張るケイトだが、心ではブリットの「嫉妬深い男」という言葉に深く傷ついていたに違いない

対するブリットは、ケイトの「父親と同じ自己中心的な男」という言葉に、父親に根深く持つ恨みと、父親のような真っ当な人生に背を向けた自分への否定がこみ上げたに違いない(勝手な憶測)

このケンカの要因は、お互いへの怒りではなく、ブリットの怒りは自分のありさまの全てを父親のせいにしている自分自身へ、ケイトの怒りは幼い自分を残して亡くなった両親に向けられている、と読んでいる。(勝手な憶測)

真っ当な人生にだけでなく、カッコ良さにも背を向けてしまったブリット(笑

ケイトが造ったブラックビューティーに初めて二人が乗り込むシーン
このときのブリットの乗り方が、みっともないのだ。。。
同時に車に乗り込むケイトの仕草が特別かっこよく見えちゃうの。
でもね、もし、ブリット役がブラッド・ピッドだったら、申し訳ないけど、ケイトはただの運転手役のエキストラにしか見えないかも。

ブラッドノフスキーに捕われたケイトを助けるため、敵と格闘するときだって

「こんなマヌケな動きはスタントマンにはできないから、僕が演ったんだよ」

とセス本人が言うくらい、マヌケ。

でもね、ジャパニーズレストラン 「ゴンパチ」 で、スキャンロン知事に喰らわすパンチは様になってるんだよね、だから、この人は、本当は、かっこいい動きもできる!! 
この映画ではブリットとして、あえて、ダサイ動きをしているのです!(勝手な憶測)

凄いなぁ~ セス・ローゲン

そうやってケイトを立てる小技は野暮ったい動きだけではなく、設定の中にも織り込まれている。
後半、敵に追われるカーチェイスのシーンで。
一見、ブリットは騒いでるだけで何もしていないように見えるが、実はしっかりお仕事をしている。

それはケイトに花を持たせているのです。

ドアガンを撃たせても敵の車に当たらず、ケイトがドアガンを撃ち敵を的中させる。
ブラックビューティーを運転させても「ケイト!お前のように上手く運転できない」と騒ぎながらスイッチをむやみやたらにいじってケイトを危険にさらしてしまう。 あげくの果てケイトに火をつけ「次は何も触るな!」と言われてしまう始末。

ブリットは、「自分には何もできません、あなたにしかできません」と自分の無能さをアピールして、有能なケイトの自尊心をくすぐっている。

まさに、男を立てることができる男。

ケイトは自分を立ててくれるブリットがかわいくてしょうがなかったと思う。
父性本能というものがあるのならば、きっとくすぐられたに違いない。
だから命がけでブリットを守ったんだよね

凄いなぁ~ セス・ローゲン

初めはケイトのかっこ良さばかりに目がいっていたけれど
最近はブリットの面白さばかりに目がいくようになってしまった
この映画、いくつもの引き出しで私を楽しませてくれるから、何度見ても飽きません❤



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