2012年11月3日土曜日

セス・ローゲンの凄いところ ~超私的偏見②~


注) これは、グリーンホーネット(The Green Hornet)を、私が偏った視点から見た感想文です

セス・ローゲン(Seth Rogen)
この人は、かっこ悪さを緻密に計算して演じているのではないでしょうか

この映画は、キザでクールなケイト(Kato ,カトー)に対し、マヌケでダサいブリット(Britt)という設定の対比効果により、二人のキャラが一層際立ち、二人の間に生じるテンションの違いや感覚のズレが笑いを誘っている。

ケイトを演じるジェイチョウ(Jay Chou)には正直、A級のかっこよさはないものの、なぜか私が夢中になってしまったのも、ブリットを演じるセス・ローゲン(Seth Rogen)の、計算された野暮ったさがあったからかもしれない。

彼はこの映画の脚本を書いているから、設定にコメディ要素がある前提としても、演技というか動きがこんなにコメディな人もすごい!

エドワードファーロング演じるミスター・タッパーのラボを襲撃し、タッパーに名刺を渡し車に乗り込む前に、ブリットは一瞬くるっと後ろを振り向く。これが、今から車上荒しをしようとするまぬけな泥棒にしか見えなくて笑える。
去り際に、敵に振り向くシーンがこんなに決まらない人も珍しい。

デイリーセンチネル社で、ケイトが運転するブラックビューティーにフロントから乗り込むシーン。
フロントガラスに思いっきりヒザを打ちつけ頭から後部座席へ、イン! ドリフ級の体当たり技。
頭から突っ込んだ後の足が、まっすぐVの字に開いているのが美しくて可笑しい。

レノアに謝罪と復職を懇願するため家を訪れたブリットは、レノアから追い出され閉まりかけたドアに足をひっかけ強引に開ける。
この新聞勧誘員にも勝る凄みある動きが、自己中心的で執着心が強いブリットの人間性をコミカルにあらわしている。
レノアにキスしようとするときだって、あんなムード無い変な顔する人見たことないよ、ほんとにこの人面白い。

育ちがいい御曹司の筈なのに、ブルース・ウェインのような紳士的要素が一つもなく、むしろ、路上育ちのケイトのほうが振る舞いが紳士的で、お互い、自分のコンプレックスを隠しているように見える。

ガサツな不良に憧れたブリットと良家のお坊っちゃまに憧れたケイト。

2人の喧嘩で、「僕はひどく貧しい路上で育った格闘技の達人だ」 と、自分の生い立ちを肯定するように威勢を張るケイトだが、心ではブリットの「嫉妬深い男」という言葉に深く傷ついていたに違いない

対するブリットは、ケイトの「父親と同じ自己中心的な男」という言葉に、父親に根深く持つ恨みと、父親のような真っ当な人生に背を向けた自分への否定がこみ上げたに違いない(勝手な憶測)

このケンカの要因は、お互いへの怒りではなく、ブリットの怒りは自分のありさまの全てを父親のせいにしている自分自身へ、ケイトの怒りは幼い自分を残して亡くなった両親に向けられている、と読んでいる。(勝手な憶測)

真っ当な人生にだけでなく、カッコ良さにも背を向けてしまったブリット(笑

ケイトが造ったブラックビューティーに初めて二人が乗り込むシーン
このときのブリットの乗り方が、みっともないのだ。。。
同時に車に乗り込むケイトの仕草が特別かっこよく見えちゃうの。
でもね、もし、ブリット役がブラッド・ピッドだったら、申し訳ないけど、ケイトはただの運転手役のエキストラにしか見えないかも。

ブラッドノフスキーに捕われたケイトを助けるため、敵と格闘するときだって

「こんなマヌケな動きはスタントマンにはできないから、僕が演ったんだよ」

とセス本人が言うくらい、マヌケ。

でもね、ジャパニーズレストラン 「ゴンパチ」 で、スキャンロン知事に喰らわすパンチは様になってるんだよね、だから、この人は、本当は、かっこいい動きもできる!! 
この映画ではブリットとして、あえて、ダサイ動きをしているのです!(勝手な憶測)

凄いなぁ~ セス・ローゲン

そうやってケイトを立てる小技は野暮ったい動きだけではなく、設定の中にも織り込まれている。
後半、敵に追われるカーチェイスのシーンで。
一見、ブリットは騒いでるだけで何もしていないように見えるが、実はしっかりお仕事をしている。

それはケイトに花を持たせているのです。

ドアガンを撃たせても敵の車に当たらず、ケイトがドアガンを撃ち敵を的中させる。
ブラックビューティーを運転させても「ケイト!お前のように上手く運転できない」と騒ぎながらスイッチをむやみやたらにいじってケイトを危険にさらしてしまう。 あげくの果てケイトに火をつけ「次は何も触るな!」と言われてしまう始末。

ブリットは、「自分には何もできません、あなたにしかできません」と自分の無能さをアピールして、有能なケイトの自尊心をくすぐっている。

まさに、男を立てることができる男。

ケイトは自分を立ててくれるブリットがかわいくてしょうがなかったと思う。
父性本能というものがあるのならば、きっとくすぐられたに違いない。
だから命がけでブリットを守ったんだよね

凄いなぁ~ セス・ローゲン

初めはケイトのかっこ良さばかりに目がいっていたけれど
最近はブリットの面白さばかりに目がいくようになってしまった
この映画、いくつもの引き出しで私を楽しませてくれるから、何度見ても飽きません❤



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