2012年12月13日木曜日

映画グリーンホーネットは男同士の愛情物語 ~超私的偏見③~


注) これは、グリーンホーネット(The Green Hornet)を、私が偏った視点から見た感想文です。
   ネタバレます、ご注意ください。

この映画は、ブリットとケイト、2人の愛の物語です。

ブリット(Britt)もケイト(カトー、Kato)も、お互いが大好き!!
だから、相手に自分の存在価値を認めて欲しくて一生懸命なのだ
ケイトは完璧なまでの器用さでブリットに存在価値をアピールするし
ブリットは権力を利用してケイトに存在価値をアピールする。

コーヒーでブリットの胃袋をつかんだケイトは、自分が改造した65年型クライスラーや自分が描いた絵を見せてブリットの興味を引こうとする。
ケイトの才能に関心を寄せるブリットに、コロナビールの栓を素手でシュパッと開け、トドメを刺す!

「どお? 僕、すごいでしょ」 って感じで。 

そして、改造したクライスラーの後部座席に2人並んで座り、ケイトはクラシックレコードに針を落としてブリットに言う

「僕、クラシック音楽が好きなんだ」

もう! この流れ! まるで女の子を口説いているかのようです(笑

ケイトに口説き落とされたブリットは、父親や世間への不満の共感者でもあるケイトを手放したくないため、自分の権力をもって彼を惹きつけようとする。

ヒーローごっこへの誘いになかなか首を縦に振らないケイトを、

「俺の権力、見せてあげる」

と言わんばかりに自分の会社に連れて行き、社長という立場を利用し、グリーンホーネットを悪徳ヒーローに仕立て上げるよう部下に命じる。
このとき部下から、ケイトは何者かと聞かれる

「その男は誰だ? 友達か?」

ブリット 「He's my man」

間髪入れずにケイトが 「I'm not your man!」と否定する

その否定に動揺したブリットは、どもりながら
「彼は俺の、プラトニック、プラトニック、プラトニックな男友達だ」 と、異様にプラトニックを強調 (笑

最終的に「経営幹部」に抜擢しちゃった!

ケイトを自分のものにしたいブリットは、ケイトのヒーロー名を提案するが
「俺がズズメバチだから、お前は俺の針」とか「お前は俺のハニーポット」とか、やたらと「My」をつけたがる

この辺りから、2人の関係にゲイっぽさが漂い始める。


ブリット 「ケイト、俺の手をとって、一緒に冒険しないか?」
ケイト 「いいよ、でも、君に触りたくない」
と、軽くフラれるブリット。

このシーンは、元々は予告編で使用するために撮ったらしいですが、面白いので本編に採用したそうです。この制作陣の遊び心が好き♪

ケイトがブリットにホーネットガンをプレゼントするシーンで、メッセージカードに書かれた「君は僕の兄弟」になんともいえない喜びの表情でケイトを見るブリット。この演技を監督のミシェル・ゴンドリーが褒めると、セス・ローゲンは

「ありがとう、僕は、男にホレてるような芝居が得意なんだ」と言っていた。

ん! もしや??? 意図して男同士の愛情を描こうとしましたね???

夜な夜なヒーローごっこに出かける2人はとても楽しそうで
クールなケイトがハイタッチしちゃったり、蜂のモノマネをしちゃったり。。。
このケイトのお茶目な蜂のモノマネを見るブリットの目尻が下がってて、孫を見るおじいちゃんみたいになってる。

朝食を共にしたり下の世話をしたりされたりで、関係が一歩進むかと思わせたところに、レノアという邪魔が入るんですね。レノアからのデートの誘いに応じたケイトを見て、ブリットはヤキモチを焼く。

俺より女を選ぶのか?

そこで自分の存在意義の危機を感じたブリットは、ケイトにコーヒーを入れるよう指示し権力を見せつける。

ケイト、お前は俺のものなんだ!!と言わんばかりに。。。

「二度とコーヒーを入れるな、お前には他の才能がある」
そう言って自分の価値を高めてくれたブリットが、「コーヒーを入れろ」と命じてきた。
ここで自分の価値を貶められたと感じたケイトは、ぶち切れる。

負けじとレノアを食事に誘うブリットだが、本気で誘おうという気がない。
だって、誘うならもっと早く誘ってるはず、でも、レノアよりケイトとヒーローごっこしてるほうが楽しかったんだもんね。

これがきっかけとなり2人の中はギクシャクしちゃう。車の中ではバラバラに座るし、痴話喧嘩ばかり。ホントにこの人たちのケンカは痴話喧嘩にしか見えないのです(笑
もっと僕を認めてよ~ もっと俺を認めてくれよ~ どうして愛してくれないの~って。
お互いを好きすぎて、お互いを放っておくことができないんですね。

そしてとうとう、ブリットはケイトを追い出してしまった。

別れた二人のテンションはガタ落ち。

心のよりどころを求めて二人はレノアの元を訪れるが、本当に会いたい人にはプライドが邪魔をしてなかなか会いに行けない。
惚れた弱みを見せたくないものね(勝手な解釈)

お互い未練たらたらで、ケイトは履歴書の照会人の欄にブリットの名を入力しては消し、格闘マシーンにはブリットの顔写真を貼る。
ブリットも、お気に入りのレノアが復職してくれたのに何故か浮かない顔。そりゃあ、一番必要な人がそばにいないからしょうがないか。

そんな大切な人を失い心に穴が空いた2人を再びめぐり合わせてくれたのは、ブリットの真の敵、スキャンロン知事。結果的に恋のキューピッドになってしまったスキャンロンですが、ブリットの父親殺しのせめてもの償いになったのでしょうか

そして再びケイトの運転するブラックビューティーの助手席に座ったブリットの嬉しそうな表情!!心から必要とする人が誰なのか確信した瞬間ですね!
本当にこの人は、男に惚れているような演技がお上手です (笑

ブリットの命を救うことで愛を見せたケイトに、ブリットは
「俺はず~っとお前に嫉妬していた、お前は本当に凄い!そして、チャーミングだ!!」
と、ケイトの存在を丸ごと認めてあげる。

お互いの愛を確認し合った後は、2人ともテンション高いです
この直後に銃を撃ちまくるシーンのカメラワークと、2人の 「イエーイ!」 が、一層絆が深まり意気投合している感じがして好き❤

ここまでくるためには、2人の関係を一度壊す必要があったのです。だから、レノアに登場してもらったわけ。レノアも薄々気づいていて、家に逃げ込んできた2人に「あなたたちがキスをしても、私は誰ともキスしないわ!」と言っちゃうくらいで、もう2人で勝手にやってちょうだいって感じ。

男同士の愛の物語にレノアは利用されたわけです。

脚本を書いたセス・ローゲンは、
「ヒーローと相棒の関係を描いたアクション大作を作りたかった。そこに男女のロマンスは必要ない」
と言っているから、ほぼほぼ成功ではないでしょうか。 私にとっては、男同士のロマンスだけで見応え十分な仕上がりです♪

ラストで、ブリットがケイトに

「頼れるパートナー」 と言ったあと、照れが出たんでしょうか
「青いウォンバット」 と落とす。

素直に「頼れるパートナー」と認められてケイトも照れたんでしょうか、ブリットの股間を思い切り バシっと!ね。

このときジェイチョウは結構強く叩いたようで、「バシ!」という音は、効果音ではなく実際の音だそうです。

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